モバイルおよび在宅医療介護を支えるICT
事業紹介
在宅医療介護に対するニーズは高齢化の進展に加えて、日常的な医療的ケアが必要な子どもたちやその家族への支援充実にあります。
この流れの中、昨今の社会要請から、離れた場所から患者の状態をリアルタイムにとらえる動きが活発です。
高齢者に加えて、人工呼吸器を必要とする子供たちの自宅や小学校などの学習施設での見守り、
救急車といったモバイル環境での搬送患者の状態把握などにICT技術が使われつつあります。
このような高度な在宅医療及びモバイル環境では、通常、医療機器と見守り装置との間には多数のケーブルがありますが、
安心できる切れないケーブルが期待されています。
一般医療機器から人工呼吸器のような高度管理医療機器に及ぶ複数の機器からアラームやデータを確かに取り出し、
そこから緊急を要する情報を的確に医療従事者に伝える事が求められています。
これを実現するために、高度管理医療機器から見守りのためのデータ取り出しを行い、セキュアな無線通信で自動的に医療機器群からのデータやアラームを集約して、
遠隔に伝えることが望まれています。
加えて、子どもたちの学習施設やモバイル環境での利用が容易なICT技術が必須となっています。
メディカルIoTシステム
信州大学医学部を中心とするグループでは、2017年度からこの問題解決に向けて、実運用を目指した在宅医療機器スマートアラームシステムを研究開発してきました。当社は、2021年度から、この成果をさらに発展させた使いやすい次世代のメディカルIoTシステムの研究開発に参画しています。
このシステムは、ベッドサイドの家族の方に加えて、離れた場所の家族や医療従事者への通知、対処不要のアラーム(偽アラーム)の抑制、生体・機器情報の関係者での共有、各社各様の在宅医療機器データおよびアラームの統合を目指しています。操作の慣れたスマートフォンをベッドサイドでの友だち(スマホ・バディ、Smartphone buddy)として位置付け、その友だちからデータやアラームを離れた場所の家族や医療従事者に通知します。
そして、在宅でも学習施設でも容易に使えるように、利用場所で提供されている無線に依存せずに、見守りをする人たちのスマートフォンに確かに大事なデータやアラームを知らせることができるシステムとしています。
目指すWiLifeメディカルIoTシステム
人工呼吸器をはじめとした「高度管理医療機器」を在宅で利用する環境ができつつありますが、患者の容態を的確にとらえ、支援者の負担をいかに抑えるかが大事です。
人工呼吸器はベッドサイドSpO2モニタという医療機器や吸引器と組み合わせて使われていますが、在宅や病院内で使用する高度管理医療機器は製造会社によって、ハードウェアやソフトウェアのインタフェースや接続するケーブルがばらばらなため、これらの医療機器を統合的に使うことは難しいのが現状です。
また、在宅利用から小学校などのモバイル環境での利用では、無線が安定しない、電源が十分取れない、暗号化セキュリティの設定が難しいなどの問題があります。
これらを解決するために、高度管理医療機器のインタフェースの違いを吸収する機構と異なる無線をまたがってセキュアな省電力無線通信があります。
人工呼吸器やパルスオキシメータからのアラームやデータを、BluetoothやIEEE802.15.4g標準920MHz無線にまたがって送ることができる通報システムで、パスワード設定不要で自動で暗号化がされる
参考論文
モバイルおよび在宅医療介護を支えるICT
Kentaro Yoshikawa, Masahiro Kuroda, "IoT Orchestration centered on Highly Managed Medical Devices for Patients of Chronic Respiratory Diseases", IEEE GCCE 2022, Osaka 2022
参考資料
在宅医療的ケア児のためのメディカルIoTテクノロジー
電波技術協会報「FORN」 2020.9 No.336
救急車患者のリアルタイム状態把握プロジェクト
2019年度アジア・太平洋電気通信共同体(APT)プロジェクト
タイ国救急医療庁救急医療サービス(EMS)救急車搭載医療機器ネットワーク設計開発支援
救急車内で生体データを集めてEMSセンターに送る
実証時の救急車内とEMCセンターのオペレーション風景
救急車内搬送患者の体温、血圧、SpO2、脈拍、心電図を救急車内から国立EMSセンターに送る事で、同センタにおいて搬送患者の状態を把握し、救急車に最適な病院に搬送させる。
この基本部である体温、血圧、SpO2、脈拍を測る医療機器とそれら医療機器からのデータをセキュアに集約する技術を提供した。